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第44回企画展 開化商人上野文七郎と写真館上埜
上野家当主の系脈中に、家伝の薬種商いとともに開化商人・唐物商としてガラスや洋酒等の舶来品の販売を手がけた鉄砲町町名主上野文七郎(1839[天保10]~1898[明治31])がいる。 県令三島通庸による栃木から宇都宮への県庁移転時、県庁移転推進派の中枢にいたキーマンであり、多額の整備資金集めにも奔走した上町の顔利きの一人であるが、彼は栃木の片岡写真館と並ぶ明治黎明期の本格的写真館主でもあった。 明治12年7月の米国前大統領グラント一行来日の折には、日光で伊藤博文、西郷従道ら政府高官と会談時の記念撮影を託され、同17年の栃木県庁新築時の建築撮影の下命も受けている。さらに、それに続く三島県令の強権発令による「東北新道の敷設事業」に際して、栃木・福島二県の各スポットの現場写真の任を受け、それが近代洋画の父高橋由一の「東北新道石版画」や一連の油絵作品の基となったのである。 本展では、忘れられた文明開化期の郷土宇都宮の写真師・上野文七郎を広く喧伝し顕彰していきたい。
- 期 間:平成30年1月15日(月)~3月17日(金)